冒頭を書いてみた!!

Mr.X

『お前のパンチなんか、綿菓子で殴られてるほどに効きゃしないよ』
『それならもう一発』
 そう言って腹に叩き込まれた奴の右手が綿菓子に変わっていた。
『ほらな、全然ダメージが無いぜ』
 握り締めたこぶしが突然変化したとあって、奴は港を回遊するボラのように口をパクパクとさせていた。
『泡でも吹き出しそうだな。そのままシャボン玉になって、どっかに飛んでっちまいな』
 鬼のような形相でにらみつけると、奴の口から大量の泡が吹き上がった。
『ああ、おい、大丈夫か?』
 俺を羽交い絞めにしていた奴の手下が、驚いて腕の力を緩めた。しぼんでいく仲間の体を見ながら、震えて動けないでいる。
『メドゥーサって知ってるか?にらまれると相手が石になってしまう魔女なんだが、髪の毛がヘビなんだってよ』
 強烈な締め付けから抜け出した俺は、次の獲物に向き直る。
『俺の特技も物質変化』
 言いながら髪の毛を細いチェーンに変えた。首を振るとジャラっと威嚇するような音がした。
『秘密を知ったお前は地蔵にでもなりな』
 俺の通う高校の制服を不良っぽく着崩した地蔵が誕生したのだが、あまりにも顔が馬鹿っぽいので一蹴り入れると、堤防を転げ落ちながら粉々に砕け、もぎ取れた頭部が勢いよく川の流れの中に入っていった。
 この能力を使うたびに残虐になっていく。少し反省しながら不良たちに連れ込まれた橋の下から土手を上がる。
 誰かこの俺を止めてくれ。誰にも相談できずに日々悩んでいた。
 そんな時に出会ったのが、彼女だった。

 これを読んで
『ぶっ飛び過ぎて読解力がないと言われればそこまでですが理解できませんでした。バトル系や超能力系は奥が深いです』ってか、これを『ぶっ飛び過ぎて』と思うだけかぁ・・・残念。
 そう、――僕は『超能力者』とするのではなく、最初にその超能力を披露して、読み手の気を引く構成の一例を書いたつもりなのだが、くどくどと『超能力』の説明から始まるより、先にそのすごさを書けってことなんだが、元ネタの作者には理解できなかったか。

『バトル系や超能力系は奥が深いです』ではなく、バトル系や超能力系などジャンルは別にして『文章に対する理解力が無い』のではないかと思います。

 バトル系や超能力系が判りにくいと言うのであれば、事故で記憶を失った文章で説明すると、作者は、主人公が記憶を失ったのは『事故』が原因で、その事故は『奇妙で奇怪で奇態で、主人公の記憶を取り戻す唯一の期待』で、まずは『その奇怪な事故』から説明しますよ『謎解きの時間だ』と冒頭部を締めくくっています。
 作者の頭の中には、とてつもなく『奇怪な事故』が具体的にイメージ出来ているので『いよいよ始めるぞ!』的にワクワクしているかも知れませんが、読み手側には『事故』『奇怪な事故』というだけのヒントしか無いわけで、いま一つ『事故』に対して興味を引かないばかりか『事故』『記憶喪失』『主人公のプロフィール』が同等の謎として残りはしないでしょうか?

 ではどうするか?『謎解きの時間だ』と冒頭部分を締めくくるのではなく、事故の説明を今からしますよ!というのであれば、一例ですが、周りにいた160人もの人を巻き込んだ大惨事は、今から二年前に起こった。と、少し具体的にヒントを出して『期待を持たせる』ことが大事なのでは?と思うわけです。

 もちろん僕は作者さんがどんな『事故』を想定しているのか知りませんから『160人を巻き込む事故』ではないかも知れませんが、単純に作者が『事故』『事故』と大騒ぎしていても気を引けるものではないと思います。

 今回のバトル系の一例では、最強とも思われる『物質変化の能力』を見せておいて、これに対抗する能力ってどんな物なのか?『誰かこの俺を止めてくれ』という台詞に続き『彼女』を出して、この彼女に期待してみて!的な構成にしてみました。

 バトル系だの推理物だのに関係無く、冒頭に必要なのは『読み手を引き込む力(構成)』『これからこんな感じで話が進みますよ的な作品の門構え』『さぁ想像の準備を始めて下さい的な導入感』などかな?と思いました。

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