文の魂!失くした自転車!!

 駅前の交番に若い男が、ひどくあわてて飛び込んで来ました。
「大変だ大変だおまわりさん」
「どうしたんですか? 何があったんですか?」
 一人机について書類をまとめていた年配の警官は動揺することも無く、作業を続けながら対応します。
「自転車が、自転車が盗まれました」
 飛び込んできた男は、警官が仕事をしていた机に両手を突いて肩で息をしながらも大声で訴えました。
 警官は圧力を感じて、くるりと体を男の方に向けます。
「どこに置いておいたんですか?」
「駅のロータリーに、駅のロータリー脇に置いた自転車が盗まれました」
「駅のロータリー脇。ああ、あそこみんな置くからね。駐輪所じゃないのに」
 そう言いながらも、警官が机の引き出しから盗難届けの書類を出します。
「色は何色なの?」
「黒です」
「大きさは?」
「27インチです」
「タイプはどんなタイプ?ママチャリ?」
「いえ、スポーツタイプで、大きく見えますけど細くて軽いんです」
 警官の質問にテンポよく答える男。息もしだいに整って、落ち着いた様子を見せます。
 年配の警官は、相手を上手い具合に自分のペースに誘い込み、書類の仕上げに掛かります。
「なるほど。27で色黒のスポーツタイプ。細身で大きいけど見た目より軽い感じだね。それで名前は?」
「のり子です」
「のり子って、キミ男だろ?」
「あ、自転車の名前です」

文の魂!失くした自転車!!」への4件のフィードバック

  1. ももさん 書き込みありがとうございます♪
    自転車だけに『のり子』です。

    これからも頑張ります。

    • ももさん 書き込みありがとうございます♪
      まだ慣れていないので、画像も上げられないしコメントがどこに書かれているのかも良くわかっていません。

      ご不便をお掛けしております。
      すいませんです。

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