芸人魂!!
舞台で亡くなった芸人さんが白くフワフワとした亡者という塊になって地獄に行き、そこでピン芸人となる。白くフワフワとした塊だけにどうしたものかと考えた結果、天まで伸びる細い糸状に変形することに成功し、それを使ったチャレンジ企画を考える。
天国に進もうとするチャレンジャーが次々と失敗する姿は笑いを呼び、地獄に笑い声がこだまする。
そんな地獄の様子を見て、天国のお釈迦様は『地獄も変わったものだ』とつぶやいた。
子の様な『芸人さんをテーマに作品を書きたかった』という作品があり、芸人をメインにしたという割りに、最終的に笑いを取っているのが『天国に向かおうとしているチャレンジャー』ということで、芸人さんというテーマはどうしたのでしょうね?と感想を書いたところ『芸人さんはイベントの構成・企画もお仕事です』とのお返事を頂きましたが、そんなことを書き手が『書いた後から』言っているから、初期設定がブレブレで訳のわからない作品が出来上がってしまうのかも知れませんよ。
芸人が死んで魂になってしまう。まさに芸人魂で、面白そうなのに根本の『芸人』が書けてないのは痛いですね。
しかもその舞台で命を落とす設定も『冒頭は振りというよりくだらない死因を考えてたら執筆していたものです』だなんて、そういう『くだらない死因を考えていて書いた』などという安易な設定が、もう駄目なじゃないか?と思わせてくれました。
むしろ『芸人が舞台で命を落とすなんて本望ではないでしょうか?』と思わせてくれました。
人物設定を明確にする。目的を明確にする。何を言いたいのかをハッキリさせる。これって、結構大事かも?
一例ですが、芸人の設定を『人を笑わせることに掛けては天才的なセンスがあるが、人に指示を受けて仕事をするとか、年の違う人たちと一緒に何かをやると、必ず失敗をしてしまう青年が、案の定アルバイト中に強盗とのやり取りに失敗し、命を落としてしまう。
(原文にコンビニでバイトをしていたとあるのでコンビニとしていますが、ここをどう書くのかも、知恵の出し所かも知れません)
芸人として舞台で死ねなかったこの青年は、未練があるために天国には行けず、地獄に落ちる羽目になる。
『人の世に未練がある者は、天国で暮らせないんだわ』
天国の神様にシャットアウトを食らう。(ここで一度天国の神様を見せておきます)
『あんなに人々を笑わせてきたのに、神も仏もあったもんじゃない!』
『死んでからの挨拶なんですけどね、一同、霊』『こちらの世界では霊に始まり霊に終わると言われています。』『ボーっとしてんじゃねぇよってよく鬼さんに言われるんですけどね。ぼく、亡霊ですから、そりゃボーっとしてますよ』
いつまでも未練タラタラでいるわけにはいかない。いっそ地獄で持ち前の力を発揮しようってがんばってみると、鬼や亡者が笑う笑う。
その笑い声につられて天国の神様が地獄を見て一言。
『死んだら地獄に行ってみたいもんだ』(一つ目の軽い落ち:天国にいる神様にこの台詞を言わせるために書いてきた的な印象をにおわせます)
やがて未練というものが無くなった青年は、地獄から天国に行ける事になる。
『なんだ寂しくなるなぁ』
鬼や亡者にそう言われて送り出される青年がつぶやく。
『今度は地獄に未練が残る』(これが最終的な落ちとなる。何だかんだ言っても常に未練というのがつきまとう。未練を残さない生き方、これもまた芸の道に通じるのかも?という深めの落ちとなります)
芸人さんを通して『未練』について考えてみました系の一作品(一例)としてみました。