口蹄疫の対応と情報に思う

<急速に広がる不満情報>
宮崎県の口蹄疫への政府の対応が遅れていると、ここ半月間ネットで急速に情報が広がっています。

政府側としては「風評被害」を恐れて、積極的なメディア活用を図っていないということですが、ブロガーの間ではこの対応に非難轟々(ごうごう)の意見が相次いでいます。

言い訳という見方をすれば確かにそう見えますが、少し落ち着いた見方も必要です。

<国の義務とは>
国の義務として果たさなければいけないのは、国民の生命・財産を守る事。これが基本です。
対応には国民の税金が投入されることになりますから、むやみに物資と人が投入されても無駄になります。

<情報の把握>
甚大災害が起こったときの政府の対応としては、正確な被害情報の把握を最優先しなくてはいけません。
情報が余り把握できていない時でも、前例に照らし合わせて大きな被害が予測される時は、その前例にあわせた対応を図る必要があります。

一番大切なのは、被害を最小限にとどめる事。
今回の「宮崎口蹄疫被害」は、そういう意味では結果的に対応の遅れが目立って見えます。

<なぜ対応が遅れたのか>
横浜市衛生研究所によると、前回の口蹄疫の発症が2000年(平成12年)で、日本における92年ぶりの発生だということです。これだけを捉えるとある程度致し方ない部分もあるように見えますが、「2001年に英国で流行し、400万頭もの処分に至った例を教訓にすべきだ。」という意見もあり、どの時点で大きな対策を講じるのか、疫病への対応の難しさを物語っています。
最近では、新型インフルエンザのワクチンの準備に多くの資金が投入され、多額の税金をつぎ込んだ二の舞を踏みたくないのかもしれません。
新型インフルエンザの政府の対応は、結果的には被害が少なかったことから、個人的には間違えていなかったと思っていることを付け加えておきます。

<メディアの扱いについて>
メディアへの情報の積極的な開示については、更に細やかな神経を使わなければなりません。
「風評被害」については、これを読んでいる皆さんが思う以上に怖い部分があります。
私がTV局に勤めていた時に地震や噴火などを取材した経験では、視聴率競争も手伝って、伊豆の東方沖群発地震の際にTVで噴火している映像が繰り返し流されました。
「いつ噴火が起こるかもしれないところに出かけられない。」とキャンセルが相次ぎ、終息宣言も遅れて多くの旅館が廃業しました。

また、記憶されてる方もいらっしゃるとおもいますが、食品においては大阪羽曳野市で発生した病原性大腸菌O(オー)-157大腸菌の風評被害が飛び火して、全国のカイワレ大根生産農家が大きな被害を受けました。

<人間のために生きて・・・>
話を戻します。宮崎で起こっている口蹄疫被害は一刻も早く収束を図らなければなりません。
補償されるとはいえ、畜産農家にとっても愛情込めて育てた家畜を自ら殺処分するのは、とても辛い事と思います。

でも良く考えてください。私たちはどのような過程で食肉を口に入れているか。
今回は畜産農家が自ら殺処分しており、多くの生き物を一度に殺処分する精神的苦痛はありますが、そうでなくても普段私たちは殺された家畜を口にしているのです。

そのお肉を口にする時に一度でも「ごめんね。」と心に思って食べているでしょうか?
人間のために生産されて生かされ、殺されている事実から逃げて、自分の正当性を貫こうとしていませんか?

<情報の氾濫の怖さ>
今回のネット炎上の推移を見て、ちょっと残念に思ったのが、コピーの氾濫です。
これは考え方にもよりますが、知らなかった人が目にする機会が増える効果は絶大なものがありますが、その情報が本当に正しいのか見極める事がとても大切です。

ブロガー友達がコピーした情報が嘘だとかそういうことを言っているつもりはありません。
ここは落ち着いて、いたずらに感情論を広げるべきではないと思います。

情報は生き物です。波及の怖さは私が記者の時に経験済みです。
特に風評被害に繋がる可能性がある情報を発する時は、その行く末まで考えて発信する事が大切だと思います。

以下の参考資料もとても重要なので、時間の許す限りお読み下さい。

参考資料:口てい疫(口蹄疫)について(横浜市衛生研究所) 口蹄疫に関する情報(農林水産省) 口蹄疫封じ込めに町職員総動員(南日本新聞) 口蹄疫問題、ネットで“炎上” 赤松農水相に批判 「報道統制」のデマも(産経ニュース)